大塚製薬は、慶應義塾と「精神展開剤(サイケデリック)」の社会実装を見据えた共同基礎研究契約を結んだと発表した。うつ病やPTSDなど難治性精神疾患向けに海外で即効性が報告されているシロシビンなどの新規治療薬を、日本でも安全かつ適切に患者へ届ける体制を築くのが狙いだ。
両者は今後、▽最適な臨床試験デザインの検討▽治療マニュアル・ガイドライン策定▽精神科医・心理士の育成プログラム開発▽法的・倫理的課題への対応▽社会啓発――などを推進。海外では米国FDAがブレークスルー・セラピー指定を与え、フェーズ3試験が進む一方、日本での臨床研究は小規模にとどまっており、環境整備が急務となっている。
大塚製薬は「将来の承認申請を見据え、産学連携で国内の基盤を整える」とコメント。慶應義塾医学部の内田裕之教授は「専門人材の育成と社会的不安の払拭が鍵になる」とし、産学官での議論を呼び掛けた。