大麻由来の抽出薬、慢性腰痛で効果 臨床試験でオピオイド代替に一歩

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カナダの公共放送CBCは、慢性の腰痛に対して大麻由来の抽出薬が痛みを有意に和らげたとする欧州の臨床試験結果を報じた。無作為化プラセボ対照で実施された大規模試験では、液状のカンナビス製剤を投与された群で疼痛スコアがプラセボ群より大きく低下し、睡眠や日常動作の指標も改善したという。依存や離脱の兆候は見られず、副作用は頭痛や吐き気など軽度〜中等度が中心だった。カナダの疼痛専門医は「臨床の意思決定に使える質の高いデータ」と評価し、オピオイドに代わる選択肢としての可能性を指摘している。

今回の試験はドイツの製薬企業が開発する“フルスペクトラム(全草)”抽出薬を用い、800人規模で12週間の効果を検証。主要評価項目の疼痛低下に加え、延長観察で効果の持続も確認されたとされる。英薬学誌系メディアやAP通信も、同薬がプラセボや一部オピオイドより良好な成績だったと伝えている。

一方で、研究者や臨床医は「欧州データの米国・カナダでの再現性を確認する追試が必要」と慎重姿勢も崩していない。これまで背部痛に関する大麻の臨床エビデンスは限定的とされてきた経緯があり、製剤の標準化や投与量、安全性プロファイルの検証を積み上げることが課題になる。

規制面では、欧州で医薬品として承認されれば、カナダや米国での治験計画や保険償還議論にも波及する可能性がある。カンナビノイド医薬の領域は、神経障害性疼痛などでは一定の有効性が示されつつも、疾患ごとの適応と用量設計にばらつきが残る。今回の結果が、慢性腰痛という患者数の多い領域で治療選択肢を広げる契機となるか、各国規制当局の評価に注目が集まる。

参考記事:New clinical trial shows cannabis-based oil improved chronic low back pain(CBC News)

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
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編集者

Takaomi Akagiのアバター Takaomi Akagi CANNABI INSIGHT代表/編集長

CANNABIS INSIGHT 編集長。2022年にメディアを立ち上げ、国内外のCBD・大麻産業を政治、経済、ビジネスという観点から取材・分析。日本国内のCBD市場調査レポート『CBD白書』の編集発行をはじめ、年間ニュースを俯瞰する企画『大麻・CBDニュース総選挙』を主宰・運営。CBDジャーニー、カナコン等の業界カンファレンスやコミュニティでの登壇・モデレーション、事業者向けの寄稿・解説を通じ、大麻・CBDについての社会的意義や経済可能性を調査しています。

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