南米ブラジルで、大麻(カンナビス)研究が新たなフェーズに入る――。国営農業研究機関 Embrapa が、正式に大麻の研究許可を取得し、“大麻種子バンク”の設立および産業用/医療用大麻の品種改良プロジェクトに乗り出すことが明らかになった。政府と連携し、少なくとも今後12年をかけた長期研究が予定されており、ブラジル国内の大麻産業への期待が高まっている。
これまでブラジルでは、大麻の医療・産業用利用には慎重な姿勢が取られてきた。しかし今回、同国の保健当局が Embrapa に対して栽培および研究の許可を与えたことで、産業用大麻(ヘンプ)や医療用大麻の可能性が初めて制度的に大きくひらかれた。研究には約 2.41 百万ドルの公的資金が投入される見込みで、研究成果次第では国内での大麻栽培許可、さらには輸出基盤の整備へとつながる可能性がある。
Embrapa の研究には、大麻の品種改良、土壌や気候への適応性の検証、そして繊維用ヘンプや医療大麻の成分分析などが含まれるという。過去、同機関が大豆や綿花で行った大規模品種改良の実績を考えれば、ブラジルが熱帯環境で大麻を商業栽培可能な“生産拠点”として浮上する可能性も否定できない。
また、この動きは単なる農業研究の枠を超え、医療用カンナビノイド市場やヘンプ由来商品のグローバルサプライチェーン構築にも影響を及ぼすとみられている。国際市場での競争力を持つブラジル産大麻原料という選択肢の現実味が増す中、日本やアジアのヘンプ・CBD関連事業者にとっても、新たな原料ソースとして関心を集めそうだ。
ただし現状では、娯楽用途の大麻(嗜好用マリファナ)の解禁ではなく、あくまで「研究目的および産業/医療用途」に限定される点に注意が必要だ。制度上の整備や規制の明確化が今後の鍵となる。
ブラジルの農業大国ぶりと研究開発力を背景に、大麻の「合法化前夜」とも言えるこのタイミング。今後の政策動向と研究結果が、南米発の新たな大麻産業のモデルを示すか、注目を集めている。
参考記事:Cannabis Research Gets A Boost In Brazil(International CBC)


