2023年4月22日(土)から2023年4月28日(金)の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
4月22日(土)イギリスの大学、サイケデリックに関する大学院コースを開設
4月23日(日)
4月24日(月)植物への感染症「HpLVd」、大麻業界に危機を及ぼす可能性
4月25日(火)デラウェア州、大麻を合法化へ
4月25日(火)オーストラリア、医療用大麻市場が急成長中
4月26日(水)有名アイスブランドの共同創業者、大麻関連の非営利団体を設立
4月27日(木)ニュージャージー州、非合法市場で大麻が購入され続ける
4月27日(木)Twitter、再び大麻に関する広告規制の緩和の動き
4月28日(金)ネイチャーカン、米国のCBD製造会社を買収し、生産を強化
【目次】
イギリスの大学、サイケデリックに関する大学院コースを開設

英国の国立大学であるエクセター大学が、世界初のサイケデリックに関する大学院コースを設立することを発表しました。このプログラムは、医療従事者やセラピストだけでなく、サイケデリックの新たな可能性に関心を持つ人々を対象にしており、サイケデリック療法や心理学、哲学、文化など幅広いテーマを取り扱う予定です。サイケデリックは、違法薬物として研究が制限されていましたが、近年、うつ病や不安障害などを治療できる可能性として研究が進められています。
【参考記事】
UK university launches postgraduate course in clinical use of psychedelics (The Guardian)
植物への感染症「HpLVd」、大麻業界に危機を及ぼす可能性

大麻栽培者が最も注意を払っているホップラテントビロイド(HpLVd)についての記事がMjBizで公開されました。ホップラテントビロイド(HpLVd)は、ホップ植物に見られるウイルスで、植物の成長に影響を与える核酸から構成される感染構造体であるビロイドの一種です。大麻栽培にも影響があるとされており、最大数十億ドルの損害が生じる可能性もあると述べられています。また、完全に消滅させる方法が確立されていないことから、栽培者にとって大きな懸念点となっています。日本では大麻栽培は不可能ですが、世界の大麻業界の課題の一部を紹介するためにピックアップしました。
【参考記事】
Experts sound alarm over global spread of dangerous marijuana viroid(MjBizDaily)
デラウェア州、大麻を合法化へ

デラウェア州のジョン・カーニー知事が嗜好用大麻に関する合法化法案を認めたことで、デラウェア州における大麻合法化が決定しました。法案は成人の大麻所持を合法化し、規制された嗜好用大麻の生産と販売に関する法的枠組みを確立するもので、デラウェア州議会の両院で賛成多数で可決されました。アメリカで新たな合法化州が誕生し、大麻の非犯罪化の流れが加速しています。
【参考記事】
Recreational Weed Now Legal in Delaware (High Times)
オーストラリア、医療用大麻市場が急成長中

オーストラリアの医療用大麻市場にて、患者数と販売数の急激な増加が続いています。医療用大麻専用の処方プログラムが2021年後半に改革が行われたことで、一部の患者が認定処方者を選ぶようになったことが市場の成長を後押ししたと考えられており、2023年も利用者や医療用大麻の消費量が増加する予測となっています。そして、縮小傾向にあるカナダの医療用大麻市場を上回る数値を記録するとされています。
【参考記事】
Australia’s medical cannabis sales might surpass Canada’s in near future(MjBizDaily)
有名アイスブランドの共同創業者、大麻関連の非営利団体を設立

BEN&JERRY’S共同創業者のベン・コーエン氏が、大麻に関する非営利団体「Ben’s Best Blnz」を立ち上げました。「Ben’s Best Blnz」は利益の80%を黒人の大麻起業家への助成金、大麻犯罪で捕まった人々を釈放を目指した団体に分配する予定で、大麻への偏見を取り払う活動を支援します。
BEN&JERRY’Sはアメリカのプレミアムアイスクリームブランドの一つで、2012年には日本進出を達成し、2020年まで日本国内でも事業展開していた有名企業になります。
【参考記事】
‘Joint’ venture: Ben from Ben & Jerry’s starts pot nonprofit (ABC News)
ニュージャージー州、非合法市場で大麻が購入され続ける

ストックトン大学の世論調査によれば、ニュージャージー州で嗜好用大麻市場が合法化されて以来、成人の約3分の1が大麻の使用経験があり、そのうち約69%が認可されたディスペンサリーで大麻を購入していることが分かりました。しかしながら、一方で大麻ユーザーの約30%が非認可販売店から大麻を購入しており、これが課題となっています。非合法市場での消費の背景には「価格が高い」という理由が挙げられており、合法市場での消費に大きな課題が残っている状況です。
【参考記事】
N.J. weed users look elsewhere with lack of dispensaries(The Philadelphia Inquirer)
Twitter、再び大麻に関する広告規制の緩和の動き

Twitter社が、大麻広告の規制を緩和することを検討していることが報じられました。過去にもTwitterにおいて大麻関連広告の規制緩和が話題となりましたが、実際の進展は遅れが見られ、実現までには時間がかかっていました。今回、再び広告規制緩和の議論が持ち上がり、大麻業界で注目を集めています。ただし、広告主はライセンスを取得し、規則に従い、事前に許可を取らなければならないという条件が付いています。それでも広告の実装に向けて前進が見られることは、業界にとって明るいニュースになると考えます。
【参考記事】
Twitter relaxes pot ad rules to lure in more advertisers (AP News)
ネイチャーカン、米国のCBD製造会社を買収し、生産を強化

ネイチャーカン(Naturecan)は、アメリカのオレゴン州にあるIAHオレゴン施設をグループ会社に加えることで、CBDオイル、スナック、プロテインサプリメント、バームなどの世界的な生産量を強化する予定だと発表しました。IAHオレゴンは、オレゴン州の農場から調達したオーガニック認証ヘンプを使って製品を作成しており、Naturecanはこれを他のブランドにも提供する計画です。Naturecanの共同創業者は、IAHオレゴン施設におけるカンナビノイド研究の開発機材やシステムに大きな期待を寄せているとコメントしています。
【参考記事】
Naturecan makes US site acquisition (North West Manufacturing News)
週刊カンナビスニュース2023年4月22日から2023年4月28日は以上になります。
皆さん、「DeSci」という言葉を聞いたことはありますか?
「DeSci」とはブロックチェーンの技術を活用して、研究や科学のエコシステムの発展を促すという取り組みであり、Web3/Crypto業界内の一つのジャンルみたいなものです。
科学者が自分の研究をオープンに共有し、その功績を称えられるようなインセンティブを与えつつ、誰もが簡単に研究にアクセスし貢献できるようなエコシステムを構築することを目的としています。
引用:Decentralized science (DeSci) | ethereum.org
私は科学者ではないですが、大麻業界には研究環境に課題があることやそもそも研究者が論文を提出して、研究内容がオープンになる過程で複雑な課題を抱えていることはよく聞きます。大麻に関心の強い方は大麻の研究にも強い関心がある方が多いので、読んでくださっている方の中にも大麻業界の研究課題を聞いたことがある方もいるかもしれません。
「DeSci」はこれらの課題を解決する一つの可能性であり、大麻業界にも応用できる取り組みではないかと考えています。
今回は編集コラムなので詳細なことは書きませんが、「DeSci」で有名なプロジェクトで「VitaDAO」の概要についてご紹介します。
このVitaDAOは長寿研究に関する課題をDAO(decentralized autonomous organization)とそれに関するNFT(トークン)を発行・活用して、長寿研究へのグラント(投資や支援)を行い、研究を加速させる取り組みになります。(詳細は参照リンクをお読みください)
老化克服や寿命延長を目的とした医薬品開発を自律分散型組織(decentralized autonomous organization, DAO)によって主導するVitaDAOについて日本の読者の方々にご紹介します。Wikipediaによれば、DAO とは、「中央集権的なリーダーシップが介在しないメンバー保有のコミュニティであり、DAOの金融取引記録やプログラムルールがブロックチェーンによって管理されている」と定義されています。
引用:VitaDAOへようこそ
今までこのテーマにロマンや関心を持ったことがある方も多いと思いますが研究期間や費用、テーマまで様々な課題を抱えていました。
しかし、それをBlockchainやWeb3/Cryptoの技術を活用してなんとかしようといったモチベーションで動いており、大手企業もスポンサー的な立ち位置で提携していたりとかなり面白い活動をされていますし、DeSciの中では非常に盛り上がっているプロジェクトになります。
このように様々な課題を持った研究テーマに対してBlockchainやWeb3/Cryptoの技術を活用して、課題を解決する動きを「DeSci」と言い、コミュニティの熱量や課題感が強い大麻領域には非常に相性がいい取り組みだと思うので、皆さんもぜひ調べてみてください!
カンナビスインサイト記事の作成者:たかおみ