2025年5月10日(土)から2025年5月16日(金)の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
ドイツ自家栽培大麻、6割が収穫許容量オーバーで問題視
ドイツにおける合法的な大麻の自家栽培に関する初の科学的調査研究の結果が公表された。 この研究は、ガイゼンハイム大学のチームによって2024年12月に行われ、1,500人の成人を対象にオンラインで実施された。回答者の47%が合法的な自家栽培を支持し、34.6%が反対、18.5%が未定であった。また、46.3%が自家栽培の合法化により違法活動が減少すると考えており、品質管理の向上(44%)や栽培の持続可能性向上(41.1%)への期待も見られた。 栽培実態については、回答者の約10人に1人が栽培経験があり、未経験者の11%が将来的な栽培に関心を示した。栽培株数の中央値は3株だが、4人に1人が法定上限を超える株数を栽培し、約60%の栽培者が法定上限である50グラムを超える量を収穫していることが明らかになった。 これは現行法では余剰分を廃棄しなければならない状況を生んでいる。
【参考リンク】
Erste wissenschaftliche Studie zum legalen Eigenanbau in Deutschland (DEUTSCHER HANFVERBAND)
ペンシルベニア州、大麻合法化法案が上院委員会で否決
ペンシルベニア州における成人向け大麻の合法化は、州営小売店での販売に限定する法案が州上院の法務委員会で否決されたことにより、先行きが不透明となっている。 この法案は下院でペンシルベニア州史上初めて可決された大麻合法化関連法案であったが、そのわずか1週間後に共和党が多数を占める上院委員会で退けられた。 否決の主な理由は、法案が提案する州営小売店モデルに対する反発である。委員長でありながら大麻合法化支持者でもある共和党のダン・ラフリン上院議員は、この販売モデルは受け入れられないと明言した。既存の医療大麻事業者も同様の立場を取っている。
【参考リンク】
Pennsylvania House advances bill legalizing recreational marijuana (AP)
世界初の大麻合法化を実現したウルグアイ元首ホセ・ムヒカ氏が89歳で逝去
ウルグアイの元大統領であり、左翼の象徴、大麻改革者としても知られるホセ・ムヒカ氏が、89歳で死去したことが報じられた。ウルグアイは世界ではじめて大麻を合法化した国としても知られている。 末期がんであった同氏は緩和ケアを受けており、火曜日に政府がその死を発表した。ムヒカ氏は2010年から2015年まで大統領を務め、その質素な生活様式から「世界で最も貧しい大統領」と称されたが、本人は「質素に暮らしているだけで貧乏ではない」と語っていた。大統領在任中、彼は給与の多くを慈善団体に寄付し、モンテビデオ郊外の農場で暮らし続けた。
【参考リンク】
Uruguay’s ex-president Jose Mujica, leftist icon and cannabis reformer, dies at 89 (France 24)
ヘンプ品質管理の鍵は乾燥? 精度向上の道筋を技術研究所が報告
連邦科学機関であるアメリカ国立標準技術研究所(NIST)は、大麻産業、特にヘンプ製品の品質管理において、より一貫性のある乾燥方法を開発する必要性を指摘する報告書を発表した。 この報告書は、NISTが進めるカンナビス検査機関品質保証プログラムの一環であり、検査機関が大麻製品を試験する際の精度向上を目的としている。 報告書によると、異なる乾燥方法を用いる施設ではヘンプの水分レベルに大きなばらつきが見られ、NISTが設定した目標範囲内にあったのは参加した89研究所のうちわずか20%であった。NISTは、不適切なサンプル保管や計量時の不備が誤差の主な原因であるとし、正確な水分測定は、カンナビノイド含有量や多くの有害元素の安全基準が乾燥重量を基準に定められているため極めて重要であると強調している。
アルメニア共和国、国会議長が大麻合法化を支持
ユーラシア大陸に位置し、黒海とカスピ海にはさまれた南コーカサスに位置するアルメニア共和国の国会議長のアレン・シモニャン氏は、テレビ番組「Deep TALKS」に出演した際、同国における大麻の合法化を支持する考えを表明した。 議長は世界的に大麻との戦いが困難であるという認識を示し、その管理を目的として各国が合法化の道を歩んでいると指摘した。しかし同氏は国民を説得することが難しいと考えており、自身が合法化のプロセスを開始することはないとも説明している。 現在、アルメニアでは大麻は厳しく禁止されており、違反者には重い罰則が科される。EU薬物機関のデータベースによると、医師の処方箋なしに薬物を使用した場合、最低賃金の100倍から200倍に相当する行政罰金が科されることがある。また、特定の大麻関連の犯罪には禁固刑が科される可能性もある。
【参考リンク】
Parliament Speaker says marijuana should be legalised in Armenia (News.am)
カリフォルニア、火災被害の対策でヘンプ活用を目指す
カリフォルニア州では頻発する大規模な山火事とその被害が深刻化しており、従来の安価なプラスチックや石油系建材が燃焼しやすく、鎮火後も有毒物質を環境に放出する問題が顕在化している。こうした背景を受け、ヘンプ(麻)をはじめとする自然由来の建材を用いた住宅再建と、その普及を阻む建築基準法の改正に向けたカリフォルニア州の自然建築専門家たちの取り組みを主題とした記事が配信されている。 主要な出来事として、自然建築の専門家グループが、2024年国際住宅規約に既に掲載されているヘンプライム(ヘンプと石灰を混ぜた建材)、コブ(土と藁を混ぜた建材)、ライトストロークレイ(軽量藁粘土)といった自然建材の規定を、2025年のカリフォルニア州建築基準に迅速に採用するよう求める請願活動を行い、数千の署名を集めた点が挙げられる。 カリフォルニア州住宅地域開発局(HCD)が過去にこれらの自然建築付属書の採用を見送った経緯があるものの、州消防保安官事務所(SFM)はヘンプライムの一部を不燃材料として承認するなど、部分的な進展も見られる。また2017年の山火事でストローベイル(藁ブロック)と漆喰で建てられた家が周囲の家屋が焼失する中で残存した事例も、自然建材の耐火性を示すものとして注目されている。 この記事で特筆すべき技術は、やはりヘンプクリートである。これはヘンプの茎の芯、石灰、水を混合して作られる石のような建材で、優れた耐火性を持ち、燃えるのではなく炭化して構造体を保護する。さらに、調湿性、断熱性、炭素固定能力も有し、健康的で持続可能な建築材料として期待されている。Americhanvre社やPerennial Building社が行った耐火試験では、摂氏900度以上の高温に1時間晒されても壁の裏面温度が上昇しない結果が得られている。 この法改正が実現すれば、住宅所有者はより安全で健康的、かつ環境負荷の低い選択肢を得られ、山火事に対するレジリエンス向上や保険料低減にも繋がる可能性がある。関係者は自然建材がもはや見過ごせない選択肢であると強調している。
【参考リンク】
Rebuilding CA With Hemp: Natural Builders Team Up for Code Reform (Hempbuild Magazine)
ミシガン州、4/20も効果薄、嗜好用大麻売上が減少
ミシガン州の嗜好用大麻市場は、2025年4月に売上高の減少を記録した。これは、大麻愛好家にとって特別な日である4月20日の祝祭があったにもかかわらず発生した現象である。 同州大麻規制庁の月次報告によると、4月の成人向け大麻売上高は2億7000万ドルであり、3月の2億7600万ドル、そして前年2024年4月の2億7700万ドルからいずれも減少した。 しかし、売上高とは対照的に、販売された大麻の量は増加している。この売上高の減少と販売量の増加という状況は、大麻フラワーの平均小売価格が大幅に下落したことによるものである。 このような価格低下は、規制された大麻市場が成熟する過程で一般的に見られる現象であるが、ミシガン州の場合は発行されるライセンス数に上限を設けていないことが、この状況をさらに加速させている。州内の栽培許可証の数は、2020年5月の273件から2024年8月には2904件へと964%も急増しており、これが供給過多と価格競争を招いていると考えられる。
【参考リンク】
Michigan recreational marijuana sales down in April despite 4/20 celebration
チェコ、大麻活動家が恩赦を求め抗議デモ
チェコ共和国において、大麻政策の更なる緩和と服役者への恩赦を求める動きが活発化している。2025年5月15日、首都プラハの保健省前で大麻擁護派が平和的な抗議デモを実施し、10鉢の大麻草を公に展示した後、プラハ城まで行進した。 この行動は、大麻関連で服役中の人々への連帯を示すとともに、先に3人の高齢大麻栽培者に恩赦を与えたペトル・パベル大統領への感謝を表明し、現在最終審議段階にある刑法改正案の迅速な採択をチェコ共和国議会下院に促すものであった。主催者の一人である長年の大麻活動家ルーカス・ハート氏は、市民団体「家族は禁止に反対」の同僚らと共にこの「#Konopný #czeXperiment」と名付けられた活動を組織したとされている。
【参考リンク】
チェコの活動家のLinkedIn投稿
南アフリカ、大麻食品規制の改定を発表
南アフリカ政府は、国民の反発を受け、大麻食品に関する規制を改定する計画だ。 保健大臣が、大麻入り食品の販売に関する新たな規制案を間もなく公表すると発表した。これは撤回された「ヘンプ(麻の一種)を含む全大麻ベース食品の輸入、製造、販売を禁止する措置」に代わるものだとされている。当初の禁止は、専門家や業界から非合法でないヘンプまで禁じた点や国民協議の欠如が批判され、ラマポーザ大統領の介入により撤回された経緯がある(以下の規制が論争を巻き起こし、3月26日には解除されている)。 南アフリカ保健省、大麻や麻由来の食品の製造・販売を禁止 IOL Newsによると、南アフリカの保健省は、突如として大麻や麻由来の食品の製造・販売を禁止しました。 この決定は、近年の南アフリカ憲法裁判所による大麻の非犯罪化に… 南アフリカでは2018年に個人の大麻使用・栽培が非犯罪化され、2024年には「私的目的のための大麻法」が成立し、この点でアフリカ唯一の国だ。他の多くのアフリカ諸国は産業用及び医療用大麻を許可しているものの、嗜好用は認めていない状況だ。 南アフリカ医学研究評議会(SAMRC)は、特に子供が誤って精神活性化合物Δ9THCを含む食品を摂取するリスクや、その長期的な影響に警鐘を鳴らしている。保険大臣は、子供の健康保護を理由に当初の禁止措置を説明し、大麻が発達中の脳に与えるリスクも指摘した。
【参考リンク】
South Africa to revise cannabis food laws amid public backlash (Business Insider Africa)
大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」編集長:たかおみ