週刊大麻ニュース |4月5日-4月11日

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2025年4月5日(土)から2025年4月11日(金)の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。

※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。


4月5日(土)
4月6日(日)米中関税で大麻業界に痛手 ベイプ部品に最大54%上乗せ
4月7日(月)豪州、医療用大麻でQOLが1年持続向上
4月8日(火)常習的な大麻使用が脳を高ドーパミン状態に
4月9日(水)イタリア、産業用大麻を麻薬として緊急で規制
4月9日(水)ウクライナ企業、麻とキノコで挑む脱プラ・脱発泡スチロール
4月10日(木)ドイツ政権、大麻合法化法を当面維持へ
4月11日(金)ハワイ、サイケデリクス研究の支援プログラム承認
4月11日(金)大手企業が続々参入、ヘンプ由来THC入り飲料が熱い

目次

米中関税で大麻業界に痛手 ベイプ部品に最大54%上乗せ

米国で対中追加関税が拡大した影響が、大麻業界のサプライチェーンを直撃しています。中国製のベイプカートリッジやバッテリー、パッケージ資材などに対する関税率は、従来の25%に加えて最大34%が上乗せされ、総率で約54%に達するケースも出てきました。さらに、すべての輸入品に一律10%の新たなベースライン関税が課される動きもあり、原価を押し上げる要因が重なっています。

業界全体では、ベイプ関連以外にも培養用の栄養塩や温室資材など幅広い部材の値上がりが見られ、新規設備投資を延期する動きも出始めています。関係者は「規制コストで利益が薄いところに関税負担が重なると、いずれ小売価格に跳ね返る。長期化すれば中小事業者の淘汰が加速しかねない」と懸念を示しています。

【参考記事】
High Tariffs Hurting Cannabis Sector, With Little Relief in Sight (Cannabis Business Times)

豪州、医療用大麻でQOLが1年持続向上

オーストラリアで、慢性疾患を抱える患者に処方された医療用大麻が、健康関連の生活の質や特定の症状に長期的にどのような影響を与えるかを調査した研究が発表されました。この大規模な観察研究では、新たに医療用大麻オイルの使用を開始した成人患者2,000人以上を対象に、12ヶ月間追跡し、患者報告アウトカム尺度(PROMs)を用いて評価が行われました。主な結果として、治療開始後3ヶ月で確認された健康関連の生活の質、疲労感、睡眠障害の改善が、12ヶ月後も持続しており、その改善は統計的に有意であり、かつ臨床的にも意味のあるレベルであったと報告されています。

【参考記事】
Improvements in health-related quality of life are maintained long-term in patients prescribed medicinal cannabis in Australia: The QUEST Initiative 12-month follow-up observational study (PLOS One)

常習的な大麻使用が脳を高ドーパミン状態に

カナダ・オンタリオ州の研究者グループ(London Health Sciences Centre Research Instituteおよびウェスタン大学シュリック医学・歯学部)は、長期かつ頻繁に大麻を使用する人の脳画像を解析し、高ドーパミン状態との関連を確認したと発表しました。研究チームは、“初回エピソード統合失調症”の診断の有無にかかわらず、長期的に大麻を使用している参加者が共通してドーパミンの上昇を示すパターンを確認したとしています。

共同研究者であるレナ・パラニヤッパン氏(マギル大学兼任)は、「大麻とドーパミンを直接結びつける明確な証拠が示されたことは大きな前進だ」とコメントしています。一方で、大麻使用が脳の発達段階にある若年層など、脆弱性のある人々にとって精神病の発症リスクを高める可能性を示唆しつつも、因果関係を断定できるものではないことも強調しています。

【参考記事】
Study reveals potential biological link between cannabis use and psychosis(westernu)

イタリア、産業用大麻を麻薬として緊急で規制

イタリア政府は緊急政令を発動し、産業用大麻を事実上禁止する新たな法案を一時的に成立させました。今回の措置は、通常の議会手続きを大幅に省略し、安全保障法案の一部として導入されたもので、開花した大麻植物すべてをTHCの含有量にかかわらず麻薬と見なし、葉や花、樹脂、抽出物を含む関連製品の取引や加工、輸出を全面的に違法化する内容となっています。

イタリア議会はこの法案を60日以内に正式な法律として承認する必要があり、承認されなければ政令は失効します。最終的な決定権はイタリア大統領にあり、大統領が署名するか、介入するかが今後の焦点となります。

この法案が成立すれば、これまで合法的に営業していた約3,000の企業が突如違法業者とみなされ、約3万人の雇用が失われる恐れがあります。業界団体「Canapa Sativa Italia(カナパ・サティーバ・イタリア)」は、「経済を破壊する行為だ」と強く批判しています。

【参考記事】
Italian Government Uses ‘Emergency’ Powers to Push Through Hemp Ban, Criminalising 22,000 People Overnight (BUSINESS OF CANNABIS)

ウクライナ企業、麻とキノコで挑む脱プラ・脱発泡スチロール

ウクライナのスタートアップ企業 S.Lab が開発した、麻とキノコの菌糸体を用いた画期的なエコ包装材に関する RIF の特集記事が注目を集めています。記事によると、S.Lab は年間150億キログラム消費されている発泡スチロールやプラスチックに代わる、環境負荷の低い代替素材の開発に成功しました。使用されている素材は、麻とキノコの菌糸体であり、そのユニークさが特集されています。

共同創業者であるユリア・ビアレツカ氏は、旅行先のバリ島で深刻なプラスチックごみの問題を目の当たりにしたことが、この事業を始めるきっかけになったと語っています。伝統的なウクライナの作物である麻の茎を構造材に用い、天然の接着剤としてキノコの菌糸体を活用。この新素材は発泡スチロールと同等の性能を持ちながら、使用後は完全に生分解される特性があるとされています。

【参考記事】
Коноплі + гриби = екопакування. Український стартап кидає виклик пінопласту і пластику(RFI)

ドイツ政権、大麻合法化法を当面維持へ

ドイツの新しい連立政権は、成人による嗜好用大麻の合法化法(CanG)について、現行の法律を当面維持することを決定しました。これは、合法化の撤回を望む国民が少数にとどまっているという複数の世論調査結果を踏まえた判断であり、政権は2025年第4四半期に予定されている評価結果をもとに再検討を行うとしています。ドイツの大麻政策は、タイとは異なる方向性をたどっているのかもしれません。

【参考記事】
Germany’s Coalition Announces No Changes To CanG Law For Now (ICBC)

ハワイ、サイケデリクス研究の支援プログラム承認

ハワイ州下院は、シロシビンやMDMAといった特定のサイケデリック物質を用いたセラピーに関する臨床研究を支援する法案を、賛成多数で可決しました。

この法案の主な目的は、精神疾患に対する新たな治療法の可能性を探るため、2年間のパイロットプログラムを創設することです。連邦食品医薬品局(FDA)やハワイ州法で承認されている、またはFDA承認の臨床試験が進められているサイケデリック物質や関連化合物を用いた「新興療法」の研究が対象となります。

【参考記事】
Hawaii House Of Representatives Passes Bill To Create Psychedelic-Assisted Therapy Research Pilot Program (Marijuana Moment)

大手企業が続々参入、ヘンプ由来THC入り飲料が熱い

米業界メディア「MJBizDaily」の報道によりますと、大手企業がヘンプ由来のTHCを含む飲料市場に相次いで参入しています。マリファナ由来製品と比較して、州や連邦レベルでの規制が緩やかな場合が多く、メーカーにとっては新たな商機が生まれていることが背景にあるようです。ただし、こうした製品に関する規制は依然として明確に定められておらず、FDA(米食品医薬品局)や州当局が今後、厳格な取り締まりに乗り出す可能性も指摘されています。専門家は「法的グレーゾーンが魅力ではあるが、いつまでも通用する保証はない」と警鐘を鳴らしています。

日本でもCBD製品に加え、ヘンプ由来製品が増えてきており、今後さらに注目される市場となるかもしれません。

【参考記事】
Big players enter hemp-derived THC drink market amid restrictions(MjBizDaily)


週刊大麻ニュース2025年4月5日から4月11日は以上になります。

今週は有名ブランドがまた一つCBD事業の撤退を発表しましたね。CANNABIS INSIGHTを始めた時から有名でオーナーの方も素敵な方だったので残念です。やはりCBD事業は何かしら障壁や継続が難しい理由があるかもしれないですね。(色々事情があるのかも…?)

一方で、今週はCBD事業に参入を検討している中小企業(かなり大きい)の方との出会いもあり、すごく学ぶこともありました。新陳代謝の激しいCBD業界。今後もどのようになっていくのでしょうか。ここ1〜2年で大きく変わる気がします。

大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」編集長:たかおみ

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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