イギリス政府、医療大麻「自家栽培」請願を却下

CI_サムネ_イギリス

英国政府は、医療用大麻製品(CBPMs)の処方箋を持つ患者が自宅で最大6株の大麻草を栽培することを認めるよう求める、約1万3千人が署名した請願を却下した。

自家栽培大麻は規制された医療用大麻製品の安全で適切な代替品ではなく、法改正の予定はないとの見解を表明した。

英国では2018年に医療大麻が合法化されたが、国民保健サービス(NHS)を通じて処方を受けられる患者はごく少数に留まり、多くの患者は月平均350ポンドにのぼる高額な私費負担を強いられている。この経済的負担が請願の主な動機であり、マルタ、ドイツ、カナダなど多くの国では既に同様の自家栽培が許可されている状況も背景にある。

政府が却下の根拠としたのは、自家栽培や路上で流通する大麻は有効成分の濃度や比率が不明確で危険性を伴い、規制された医療用大麻製品の代替にはなり得ないとする専門家の2018年の報告だ。これに対し、大麻科学者のキャリー・シーマン博士は、患者自身が栽培過程を管理できる自家栽培と、汚染物質や有害な合成カンナビノイドが混入するリスクのある「路上大麻」を同一視するのは不正確だと指摘する。自家栽培にも微生物汚染などのリスクは存在するものの、高額な私費医療が持続不可能な場合、患者が違法な闇市場に頼らざるを得なくなる可能性を懸念。

シーマン博士は、カナダなどで導入されている登録制度や年齢・株数制限といった規制、教育プログラムや検査サービスの提供といったハームリダクション戦略を通じて、英国でも安全な自家栽培の導入は可能であり、経済効果も期待できると提案している。

しかし、政府は医療用大麻製品の安全性、品質、有効性に関する強固な科学的エビデンスが確立されるまでは、臨床医による処方は進まず、NHSによる定期的な費用負担も困難であるとの立場を崩していない。このため、患者の経済的負担や闇市場への依存といった問題の解決は当面見通せない状況が続くと考えられる。

情報源の記事:UK Government Rejects Medical Cannabis ‘Grow Your Own’ Petition, But At What Cost? (CannabisHealth)

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編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
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