みなさん、こんにちは。
CANNABIS INISIGHT(カンナビスインサイト)のたかおみです。
今回は大麻上場企業の「Green Thumb Industries」について解説していきたいと思います。
米国全土で大麻ブランド複数運営する有力企業です。米国14州で事業を展開しており、4000名を超える従業員と90以上のディスペンサリーを有しています。この記事では、Green Thumb Industriesの概要、事業内容、そして最新の決算情報を詳しく解説します。
Green Thumb Industries の会社概要
Green Thumb Industriesは、2014年に設立された米国で事業を展開する大麻消費者向け商品会社兼小売業者です。
ウェルビーイングを促進するという使命を掲げ、高品質の大麻ブランドの提供に努めてきました。約4,600人の従業員を抱え、年間何百万人もの患者と顧客にサービスを提供しています。 2023年12月31日現在、イリノイ州シカゴに本社を置き、カリフォルニア州、コネチカット州等の14の州で事業を展開。
この企業の強みは「強力なブランドポートフォリオ」「一気通貫の事業モデル」「経験豊富な経営陣」。
- 強力なブランドポートフォリオ:
&Shine、Beboe、Dogwalkers などの、認知度の高い強力なブランドポートフォリオを所有しています。 これらのブランドは、高品質な大麻製品を提供していることで知られており、消費者に幅広い選択肢を提供しています。 - 一気通貫の事業モデル:
栽培、製造、流通、小売を含む統合された事業モデルを持っています。 これにより、サプライチェーン全体を管理し、品質、一貫性、コスト効率を確保することができます。 - 経験豊富な経営陣:
Grren Thumb Industriesは、大麻業界で豊富な経験を持つ経営陣によって率いられています。 経営陣は深い業界知識と実績を持ち、会社の成長と成功に貢献しています。
ベン・コブラー氏が、Green Thumb Industriesの会長、CEO、そして創業者です。
コブラー氏のとったアクションに、発行済み株式数を減らすことで一株あたりの価値を高めることを目指した「Reduce the Denominator」(分母を減らす)という自社株買いを行う戦略を実施しています。
またカリフォルニア州での事業展開を見送った理由として、同州の高い税金、頻繁な法改正、違法市場の横行などを挙げ、「長期的な投資収益を生み出すのに最適な場所ではない」と判断したことを明かしています。 このことから、コブラー氏は、短期的な利益よりも、長期的な安定成長を重視する経営者であることがうかがえます。
また「より公平な産業を形成しながら、失敗に終わった薬物戦争の不正を正すのに役立つ前向きな変化を作ることに努めている」とのメッセージも発しています。
事業内容
ここからはGreen Thumb Industriesの公開情報をもとに事業内容を見ていきたいと思います。
Green Thumb Industriesの主な事業は2つあります。
1つ目は、自社ブランドの大麻消費者向けパッケージ商品を製造、販売、流通させる事業(消費者向けパッケージ商品事業)です。 これらの商品は、主に米国全土の第三者ライセンスを受けた小売店や、Grren Thumb Industriesが所有する小売店に販売されています。
2つ目の事業は、第三者の大麻メーカーから調達した完成品と、自社の大麻消費者向けパッケージ商品を、自社が運営するRISE Dispensariesなどの小売店で消費者に直接販売する小売事業です。 2023年12月31日現在、91の小売店を運営しています。
消費者向けパッケージ商品事業
自社ブランドの大麻消費者向けパッケージ商品の製造、販売、流通を行っています。 これらの商品は、主に米国全土の第三者ライセンスを受けた小売店と、Green Thumbが所有する小売店で販売されています。 消費者向けパッケージ商品ポートフォリオは、主にGreen Thumbが栽培・加工した植物原料から作られており、20の自社製造施設で消費向けパッケージ商品を生産するために使用されています。
▼ 運営している自社ブランドの一部
- &Shine
- Beboe
- Dogwalkers
- Doctor Solomon’s
- RYTHM etc…

画像出典元:Brands
他社製品の小売事業
RISE Dispensariesと呼ばれる全国的な大麻小売店チェーンを所有・運営しており、知識豊富なパーソナルケアスペシャリストが消費者の健康への道のりをサポートし、高品質の大麻製品を提供することを目指しているとされます。
また、ライセンスや同様の制限により、別の名称で運営されている店舗も所有。 小売店における収入は、Green Thumbが生産した製品と第三者が生産した製品の両方が含まれています。
小売店からの収入のうち、Tシャツや大麻使用のためのアクセサリーなどの商品の販売に由来する部分は10%未満であると報告されており、大麻関連商品がその売り上げのほとんどを占めていることが確認できます。 RISE Dispensariesは2023年12月31日現在、14の州に展開、91の小売店を開設・運営中。

画像出典元:retail RISE
決算書を読んでみる
最後にGreen Thumb Industriesの決算情報をわかりやすくまとめてみます。会計士ではないので、事実ベースでまとめてみました。また今回の情報は2023年(執筆時:2024/8/20)のデータを参照しています。
出典:Green Thumb – 2023 Annual report
決算情報を含む表を以下に示します。
決算情報
項目 | 2023年12月31日までの年度 | 2022年12月31日までの年度 | 2021年12月31日までの年度 |
---|---|---|---|
収益 | 1,054,553千ドル | 1,017,375千ドル | 893,560千ドル |
売上原価 | (528,058)千ドル | (513,412)千ドル | (401,631)千ドル |
売上総利益 | 526,495千ドル | 503,963千ドル | 491,929千ドル |
販売費および一般管理費 | 341,863千ドル | 294,396千ドル | 277,087千ドル |
のれんおよび無形資産の減損 | – | 88,503千ドル | – |
営業利益 | 184,632千ドル | 121,064千ドル | 214,842千ドル |
その他の費用 | (28,583)千ドル | (12,632)千ドル | (9,867)千ドル |
税引前利益 | 156,049千ドル | 108,432千ドル | 204,975千ドル |
法人税費用 | 118,630千ドル | 94,777千ドル | 124,612千ドル |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 36,267千ドル | 11,978千ドル | 75,436千ドル |
1株当たり純利益-基本 | 0.15ドル | 0.05ドル | 0.34ドル |
1株当たり純利益-希薄化 | 0.15ドル | 0.05ドル | 0.33ドル |
総資産 | 2,490,057千ドル | 2,433,528千ドル | |
長期負債 | 660,751千ドル | 621,525千ドル | |
営業活動によるキャッシュフロー | 159,002千ドル | 131,959千ドル | 225,232千ドル |
2023年の決算情報からは、以下のことが報告されています。
- 売上高は増加したものの、価格圧力の影響を受けている。
売上高は10億5,455万3,000ドルで、前年比4%増となった。ニュージャージー州、ロードアイランド州、コネチカット州、メリーランド州における成人向け販売の合法化、既存市場における継続的な成長、当期に開店した新規小売店舗からの売上によるものだが、価格圧力の影響も一部受けている。 - 純利益は前年比で大幅に減少した。
2023年の純利益は3,626万7,000ドルで、前年比84%減となった。 ※2022年の純利益には、のれん及び無形資産の減損費用として、8,850万3,000ドルが計上されています。 - 営業活動によるキャッシュ・フローは増加した。
営業活動によるキャッシュ・フローは2億2,496万8,000ドルで、前年比で増加した。純利益の減少にもかかわらず、減価償却費などの非現金支出が計上されたこと、運転資本が変動したことなどが要因である。 - 小売部門の売上は全体の75%を占めている。
小売部門の売上高は7億9,148万ドルで、前年比4%増となった。新規出店や既存店の売上増によるものである。 - 消費者向けパッケージ商品部門の売上は全体の25%を占めている。
消費者向けパッケージ商品部門の売上高は5億5,948万ドルで、前年比13%増となった。 - 会社は積極的な投資活動を行っている。
設備投資は2億ドルを超え、将来の成長に向けた投資を行っている。
全体的に、売上と営業キャッシュフローは増加したものの純利益が大幅に減少したという、堅調ながら課題も多い一年を経験したと言えるでしょう。
株価
まとめ
2023年のGreen Thumb Industriesは、売上高の増加や積極的な投資が見られた一方で、純利益の大幅な減少が課題となりました。同社は、長期的な成長を見据えた戦略を展開し、引き続き大麻業界において影響力を持ち続けています。
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