ヨーロッパのメンタルヘルス危機に対応するため、サイケデリック療法の規制を求める市民発案「PsychedeliCare」の署名活動が開始されました。この提案は、マジックマッシュルーム(サイロシビン)、イボガなどの伝統的医薬品を用いた治療法を公的医療システムに統合し、安全で合法的なアクセスを実現することを目指しています。これはEuropean Citizens’ Initiativeの一環であり、市民による立法提案を行う制度を利用しています。
欧州市民イニシアチブ(European Citizens’ Initiative):
EUが権限を持つ政策分野について、加盟国7カ国から計100万人以上の署名を集めれば、欧州委員会に対して立法を提案することができる制度。
出典:欧州市民イニシアチブとは?
ヨーロッパでは精神疾患を抱える人々が増加しており、既存の治療法が十分な効果を発揮しないケースも多い中、治療抵抗性うつ病やPTSD、依存症などに効果を示すサイケデリック療法への期待が高まっています。今回の署名活動では、2026年1月13日までに100万件の署名を集め、欧州委員会に規制の必要性を提案することを目指しています。
ICEERS(国際民族植物教育研究サービスセンター)はこの活動を全面的に支持しており、科学ディレクターのホセ・カルロス・ブーソ博士は「私たちは今、転換期を迎えている。サイケデリック療法は、複雑な障害を治療するための代替手段を提供するだけでなく、西洋医学と伝統的知識の関係を再定義する可能性を提起している。ヨーロッパには、この変化をリードする機会がある」と述べています。
OECDによると、ヨーロッパのメンタルヘルス危機は年間約6694億ドルの経済的損失を引き起こしており、50%の患者が従来の治療に効果を示さないとされています。このような現状を打破するため、科学的エビデンスに基づいた新たな治療アプローチの必要性が高まっています。
情報元:One Million Signatures to Transform Mental Health in Europe (ICEERS) & Europe launches campaign today to transform mental health with psychedelic therapies (Press Release)
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