チェコ共和国では、長らく停滞していた大麻規制に関する法案の審議が、ようやく本格的に動き出した。現地メディア「Business of Cannabis」の報道によると、チェコ共和国で進められている大麻規制の法改正を巡り、シンクタンクが経験豊富な刑法弁護士と協力して作成した修正案が、正式に議会へ提出された。
シンクタンクとは、政治や経済、科学技術などの幅広い分野で調査・研究を行い、解決策を提示する研究機関
チェコでは既に医療大麻が認められているが、改正案は嗜好用大麻市場の整備を含む“全面的な規制”を意図しているとみられる。提出が遅れた背景には、法的・官僚的手続きの複雑さや関連省庁との調整などがあったと報じられている。今回の改正案が実現すれば、栽培方法や販売網の免許制度、品質管理、課税システムなど多岐にわたる項目が法的に整備される見込みだ。
修正案の最大の争点となっているのは、個人が自家栽培した大麻の乾燥花を「50グラムまで」とする制限だ。ドイツでも同様の議論が行われたが、園芸技術の高い栽培者であれば1株から100〜500グラムほど収穫できるため、50グラムの上限は著しく低すぎると批判されている。実際、チェコ議会で大麻の合法化推進に重要な役割を果たしてきた合理的規制協会(RARE)は、過度に厳しい制限が警察による小規模栽培者の取り締まりを継続させる根拠になりかねないと懸念を表明した。
一方、アトラサナ・チェコのディレクターでありRAREのメンバーでもあるトマス・リスカ博士は、「今回、この問題が正式に議会で議論される段階まで進んだのは大きな一歩だ。今後は全面的な規制という視点から法案を検討せざるを得ない」と指摘する。今後、個人栽培の実質的な非犯罪化だけでなく、税制や流通管理などを含めた法改正の改善策も議論される余地があると見られている。
なお、修正案は正式に提出されてはいるものの、審議の日程はまだ確定していない。既に医療大麻を合法化しているチェコが、個人使用の非犯罪化をさらに明確化し、欧州における大麻規制の先進例となるかどうかは、今後の議会審議の行方にかかっている。
参考記事:Amendment Brings Full Cannabis Regulation to Czech Parliament After Long Delay(Business of Cannabis)
