こんにちは。大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」
大麻・CBDのビジネス、経済をより深く理解する上で大麻・CBDに関する主要な用語をわかりやすく紹介します。(随時追加しています。)
薬物戦争(The war on drugs)
「薬物戦争」という用語は薬物乱用を抑制することを目的とした政府の取り組み、特に薬物の製造、流通、消費に焦点を当てたものを指します。1971年にリチャード・ニクソン大統領が米国で「薬物戦争」を宣言し、薬物乱用を「国民の敵ナンバーワン」と呼んだことから広く認識されるようになりました。
「薬物戦争の論理」は、薬物使用の現実的および認識上の健康被害に対処するために、公衆衛生上のアプローチよりも薬物の禁止、犯罪化、および処罰を優先および正当化する論理として定義されています。出典において、薬物使用を刑事上の問題であるとみなすことにより、薬物使用者、その家族、およびコミュニティの健康を支援するのではなく損なうと主張されています。
出典:How the war on drugs impacts social determinants of health beyond the criminal legal system
テルペン
イソプレンを基本単位とする炭化水素で、植物や昆虫、菌類、細菌などによって生成される生体物質です。炭素10個の構造を持つ化合物群にこの名称が付けられ、炭素10個を基準にカテゴライズされています。
イソプレン:
化学式C5H8で表される有機化合物です。正式名称は2-メチル-1,3-ブタジエンで、分子構造は以下の特徴を持ちます:
・5つの炭素原子と8つの水素原子で構成されています。
・2つの二重結合を含む不飽和炭化水素です。
・メチル基(-CH3)が1つ付いた構造をしています。
抗菌、殺虫、雑草防除剤としての可能性について広く研究されています。 また、受粉媒介者や散布者など、害虫の天敵や有益な昆虫を誘引します。現在、約55,000の種類のテルペンが知られています。
例えば、テルペンはさまざまな植物に含まれており、その中には大麻も含まれています。大麻は独特の香りと風味を持つことで知られており、これはテルペンを含む様々な化合物の複雑な混合物によるものです。テルペン自体は、植物によって生成される香りの化合物であり、植物の保護において重要な役割を果たしています。テルペンは、植物を微生物、草食動物、雑草から保護する役割を担っています。
出典:Biochemistry of Terpenes and Recent Advances in Plant Protection
麻薬に関する単一条約
1961年の麻薬に関する単一条約は、麻薬の医療および科学的な使用を制限し、不正な生産、取引、使用を防止することを目的とした国際条約です。
この条約では、アヘン、コカ葉、大麻などの麻薬と、それらから製造されるモルヒネやヘロインなどの薬物を統制対象物質としています。これらの物質は、乱用の可能性や人体への悪影響に応じて、附表Iから附表IVに分類され、それぞれ異なるレベルの統制措置が適用されます。
条約は、麻薬の不正取引を防止するために、締約国に対して、輸出入許可書の取得、記録の保存、監視体制の維持などを義務付けています。また、締約国は、麻薬の濫用防止のための措置を講じ、不正取引に対する全国的な調整を行い、国際協力を行うことなども求められています。
さらに麻薬委員会と統制委員会という二つの国際機関を設置。条約の実施状況の監視、締約国への勧告、情報の収集・分析などの役割を担い、国際的な麻薬統制の強化に貢献しています。
1961年の採択以来、多くの国がこの条約を批准しており、国際的な麻薬統制の重要な枠組みとなっています。
向精神薬に関する条約
向精神薬に関する条約は、1971年2月21日にウィーンで作成された、向精神薬の濫用や不正取引を防止するための国際条約です。
条約では、向精神薬をスケジュールIからスケジュールIVに分類し、異なるレベルの統制措置を規定しています。スケジュールIに分類される向精神薬は、医療上または学術上の目的以外での使用が禁止されています。
条約は、向精神薬の不正取引を防止するために、締約国に対して輸出入許可書の取得、記録の保存、監視体制の維持などを義務付けています。また向精神薬の濫用防止のための措置を講じること、不正取引に対する全国的な調整、国際協力なども求めています。
出典:向精神薬に関する条約
麻薬新条約
麻薬及び向精神薬の不正取引を防止するため、1988年12月にウィーンで策定され、1990年11月に発効した麻薬新条約は、2020年5月末時点で我が国を含む191か国・地域が締約国となっています。
この条約は、単一条約及び向精神薬条約で定められた措置を強化・補完するもので、締約国には、薬物犯罪に対してマネー・ロンダリングの犯罪化や犯罪収益の没収を義務付けています。また、裁判権の設定、犯罪人引渡し、捜査・司法共助などの規定があり、コントロールド・デリバリー(監視付き移転)に関する規定も含まれています。
麻薬委員会(CND)
麻薬委員会(CND)は1946年に設立され、薬物関連諸条約履行の監視、薬物統制の強化に関する勧告等薬物統制にかかる政策を決定しています。
国際薬物統制条約のもとで物質の規制範囲を決定する権限を持ち、毎年会合を開きます。
麻薬単一条約はCNDの活動の基盤であり、CNDはこの条約の実施状況を監視し、国際的な薬物対策を推進しています。
出典:The Commission on Narcotic Drugs (CND)
アンスリンガー
ハリー・J・アンスリンガーは、1930年から1962年まで連邦麻薬局(FBN)の長官を務め、その後、1962年から1964年まで麻薬危険薬物取締室の初代長官を務めました。
米国における麻薬規制、特に大麻規制において重要な役割を果たした人物として知られています。「熱烈な道徳保守主義者、プロパガンダ主義者、レイシスト」と評され、大麻をメキシコ人や黒人、ジャズと結びつけ、その脅威を過大に喧伝し1937年のマリファナ税法の成立を推進しました。
アンスリンガーの行った大麻に対するプロパガンダは、その後の米国における大麻規制の強化に大きな影響を与え、今日まで続く「薬物戦争」の礎を築いたとされています。
出典:1930年代米国における大麻規制:ジャズ・モラルパニック・人種差別
サイケデリック
「サイケデリック」とは精神活性のある物質のことを指します。さらに大麻関連の文脈で精神活性のある物質による治療法のことを指し、従来の治療法では十分に対処できなかった分野において、サイケデリックが新しい治療法として期待されています。
1960年代には、LSDなどを用いた精神療法が、アルコール依存症などの特定の障害に有効である可能性を示す科学的根拠がありました。これは、従来の治療法では十分な効果が得られなかった分野において、サイケデリックが新しい治療法として期待されていたことを示唆していました。
しかし、1971年の国連向精神薬に関する条約により、サイケデリックは国際的に非難され、関連する研究は激減。その結果、サイケデリックと従来の治療法を比較する研究はほとんど行われなくなってしまったとされます。
1990年代以降、「サイケデリック研究のルネッサンス」と呼ばれる動きが起こり、うつ病、不安、PTSD、依存症、強迫性障害などに対する治療法として、サイケデリックを用いた研究が再び活発化しています。これらの研究では、サイケデリックが従来の治療法よりも効果的であるかどうか、どのようなメカニズムで効果を発揮するのかについて解明が進められています。